不妊治療の現状

【日本における不妊治療】

日本人はカップルの5.5組に1組が不妊治療・検査をしている現状です。その不妊治療とはどんな治療があるのかということを説明しますと、
不妊治療には一般不妊治療と高度生殖医療(以下
ART)の2つに分けられます。ARTでは、卵子を身体の外に取り出すという高度の技術が必要となります。

タイミング法からステップアップしていき、人工授精を5~6回行っても妊娠に至らなければ一般的には体外受精に移行します。年齢にもよりますが、不妊治療は一般的に2年をめどに長い期間を考えられますが、費用面からみても、1回2~3万円する人工授精を何度も行うため10万以上の費用がかかってきてしまいます。そしてARTである体外受精は先述した通り高度な技術が必要なためさらに高額な費用がかかってきます。また、ここまで高額な費用が掛かってくる理由の1つに、不妊治療は医師によって「病気」と診断されて症状を治療するものではないとみなされているため、健康保険の適応外となってしまっているということもあります。

高度生殖医療で子供が生まれる確率は総治療あたり平均で11.7です。年齢によって異なり、32歳くらいまでは約20%ですが、年齢とともに下降し、40歳を過ぎると7~8%となります。また、1回の治療で妊娠、出産まで進むことは少なく、1回数十万円の治療を何度も繰り返してようやく子供を授かるのです。そのため、家族の経済的、精神的負担はかなりのものになります。不妊治療を考える上で、注意しなければいけないのが、妊娠率と出産率は違うこと、1回の治療成功率と何度か行って成功した総治療当たりの成功率など、言葉の意味をしっかり捉え、治療期間や費用を考えていく必要があります。

ここで述べてきたように、病院やクリニックで行われている不妊治療まで長期間を見込んでおく必要があり、身体的、精神的、経済的にもかなりの負担を強いられます。

女性において長期間不妊治療に時間を費やすということは仕事への影響もあります。不妊当時者を支援するNPO法人Fine2017年に実施した「仕事と不妊治療の両立に関するアンケート」では両立を体験・考慮した人の96%が「両立が困難」と回答しています。場合によっては働き方を変える必要もあるのです。

これだけの多くの時間と費用を費やして不妊治療は進められていきますが、日本の不妊治療ではなかなか妊活がうまくいかず、ARTまで進む人も少なくありません。体外受精の実施数は年々増加しており、2015年には424151件でした。そして赤ん坊のおよそ20人に1人の割合となる51001人が体外受精からの出産で生まれました。

実は、日本の生殖補助医療の実施件数は世界的に見ても多く、世界1位となっています。しかしその反面、世界各国の生殖補助医療の実施状況をモニタリングしている国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)によると、日本は実施件数において世界1位であるにも関わらず、出生率は世界最下位で6.2しかないのです。

このように最先端と言える日本の医療でも、出生率の低さは先進国世界の最下位ということから、体質改善として身体を変えていくことが必要だと私たちは考えています。